(ブログ)航空宇宙業界におけるRFIDテストの大きなアップグレード
航空宇宙業界におけるRFIDテストの大きなアップグレード
このCOVID-19パンデミックの最中、大半の飛行機が地上での待機を余儀なくされ、いくつもの大型の航空機の発注がキャンセルされている今、RAIN RFIDにとって航空宇宙業界は最もホットなマーケットではないかもしれません。しかし、やがて現状を乗り越え、より多くの航空機が量産されるでしょう。そして、その頃には最近の規格化への働きかけによって、航空宇宙業界は今まで以上にRAIN RFIDを採用する準備が整っているでしょう。
2015年に私はRFIDのパイオニアという航空宇宙産業に関するブログを書きました:
“航空宇宙産業では、すでに2006年頃にはタグについての規格化が必要だと議論されており、SAE Internationalの元に現場の専門家グループが規格を開発することを決定しました。そして、環境試験に加えてタグのRF性能試験も定義したSAE AS5678“Passive RFID Tags Intended for Aircraft Use(航空機での使用を目的としたパッシブRFIDタグ)”が制定されました。この規格は非常にプロフェッショナルであると同時に繰り返し可能な測定方法を定義しています。しかしより興味深いのは、タグの性能によってグレード分けしていたことで、これは2015年に小売産業向けに制定されたGS1 TIPP規格と類似しています。 |
2020年に話を戻すと、2月にSAEは第3版となる規格AS5678B Passive RFID Tags Intended for Airborne Equipment Use(機上整備での使用を目的とするパッシブRFIDタグ)を公開しました。では、この新しい規格では何が違うのでしょうか?
主な変更点は性能グレードの決定方法に関連した内容です。以前までの規格では、タグは受信感度によって決まる通信距離を基本にグレード分けされていました。これはこれで理にかなっています。2006年時点ではRFIDチップの受信感度は決して優れておらず、通信距離はタグへの電源供給により制限されていましたためです。しかし最近は必ずしもこの限りではありません。タグの受信感度は向上し、タグからリーダーへのリターンリンクが通信距離を制限する場合が増えています。この点が新版に反映されており、AAS5678Bでは最小通信距離と最小バックスキャッターの両方を用いてグレードが定義されています。
例を挙げると、Grade Xに分類されたタグは、金属プレート上でのタグの受信感度は-12dBm以上であり、バックスキャッター強度は少なくとも-23dBmである必要があります。これに合致すると期待される通信距離は6mとなります。しかし、これだけではありません。航空機は国境を越えることもあり、世界の国や地域によって使用を許可されている電波周波数が異なります。そのため、これらの性能を865〜930MHzの間で発揮することが求められています。
そこにこの規格における新しい要素があります。もはや一つのタグがグレードを満たせば良いという時代ではなく、統計的な要素が含まれています。合計で30個のタグをテストするする必要があり、性能の変化量は規格で定義されているレベルを下回る必要があります。
結果として、この新しい規格の改訂に私は大変満足しています。新しくバックスキャッターの基準が設けられたことで、産業の発展に非常に沿った形となりました。大半のリーダーが基準を満たしたタグを読み取るためにも、バックスキャッターは非常に強力であることが必要です。加えて、統計的試験は品質面のヒントを規格にもたらします。
最後に、AS5678について一つ興味深いことがありました。この規格に従ったテストサービスを誰も公に広告していないことです。顧客からサービスプロバイダーについての問い合わせをよく受けます。タグメーカーは必ず自社か社外かのどちらかでタグのテストを行います。おそらく大半が外部のラボに環境試験を依頼し、RFIDに関しては自社のTagformanceシステムを使用しているでしょう。
しかし、AS5678Bをテストするワンストップショップがあっても良いのではないでしょうか?
これらのテストに興味のあるラボをご存知の方がいれば、ご連絡ください。すでに環境試験の設備をお持ちであれば、RFIDの部分をVoyantic社が喜んでご協力します。
著者:Jukka VoutilainenRFIDのテストならびに測定ソリューションを専門とするVoyanticの共同創立者でCEO。2004年にVoyanticを創立する以前は、ヘルシンキ工科大学(Helsinki University of Technology)で建造物の水分に向けたパッシブなRFIDセンシングを研究。 |
メーカーページのブログはこちらをご参照ください。
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