(ブログ)ウェアラブルセンサー、脳刺激と透明タグ:2018年から2020年にかけてのRAIN RFID研究結果
ウェアラブルセンサー、脳刺激と透明タグ:2018年から2020年にかけてのRAIN RFID研究結果
今から3年前に、2017年に発表されたRFIDの研究に関するブログを書きました。
そして今、もう一度見返すのに良いタイミングだと感じています。
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- 研究テーマは変わっているのでしょうか?
- 新しいホットなトピックは何でしょうか?
- この先数年間の商業利用において何が期待されているでしょうか?
免責:紹介する調査論文や概要の選定は私個人によるものです。文書の要約は短く、私個人の見解として書いています。私が提起するポイントは必ずしも筆者の意図に同調する必要はありません。もし興味のあるトピックが見つかれば、リンクをクリックして文書全体を読むことをお勧めします。
私はまず、Google Scholarで2018年~2020年に発行されたRFID研究記事のヘッドラインを見て解析することから始めました。文字数のカウントから研究テーマのアイデアを得ました。これがRFID研究についての私の見解です。
ウェアラブルタグ
ウェアラブルタグに関しては様々なことが起こっています。これは衣類や服飾に埋め込まれるRAIN RFIDタグがどんどん増えていくことを示していると思います。RFIDのアプリケーションは“システム要件外”のタグも考慮してデザインされる必要があります。
ウェアラブルタグはより普及する
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- 衣類へRFIDアンテナを組み込むことについて研究しているラインがあります。“Textile-Integrated Stretchable Structures for Wearable Wireless Platforms” と題した文書では、導電性物質のブラシ塗装、つまり繊維に塗装できる伸縮可能なアンテナについて解説しています。
- 他にも、認証テクノロジーのみならずセンシングテクノロジーを持ち合わせた導電性の糸を基としたアプローチもあります。一つの例がこちらにあります:“New Approaches For Augmented UHF RFID Textile Yarn”
- タグを様々な衣服や装飾品に組み込むアプローチはまだ他にもあります:“A Dual-ID RFID Tag for Headgear Based on Quasi-Yagi and Dipole Antennas”、“Glove-Integrated Passive UHF RFID Tags—Fabrication, Testing and Applications“
- 当然、中にはリストバンドなどウェアラブルなタグもあります:“Design of a Compact PIFA Tag Antenna for Wearable Electronics”
センサータグ
継続して研究されているトピックはセンサータグです。情報を送信する方法としてRAIN RFIDを活用することは、ほとんど何でもRAIN RFIDセンサーと連動できます。秘訣は、RAIN RFIDが独自の利点をもたらすアプリケーション、もしくは他のデータ送信方法より適しているアプリケーションを見つけることです。
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- RAIN RFIDタグのアンテナをセンシングエレメントとして活用することが良い例です。タグのアンテナが環境に反応し、バックスキャッターシグナル強度が変わったとしてセンサー情報が送信されます。これは物質の検知(“Inkjet‐printed UHF RFID tag based system for salinity and sugar detection” )や、構造や位置の変更(“A Novel Displacement and Tilt Detection Method Using Passive UHF RFID Technology”)に活用できます。
- パッシブのRAIN RFIDタグはセンシングとリーダーからのデータ送信に必要なエネルギーを搾取します。パッシブタグはバッテリーが不要で非常に小型にデザインできるため、アプリケーションによっては非常に大きな利点となります。“Design of passive UHF RFID sensor on flexible foil for sports balls pressure monitoring”
- 携帯電話やその他デバイスから人体への電波放射の影響は、それ自体がディスカッションのトピックとなります。RAIN RFIDタグはアクティブには電波を放射しませんが、データをバックスキャッターすることで放射します。エネルギーレベルはマイクロワットで、携帯電話が放射するようなワットではありません。これはセンサータグが人体に直接着いている時に利点となります:“Adjustable Passive RFID Skin Mounted Sticker”
RAIN RFIDタグのバックスキャッターシグナル強度は、タグの角度が変わった時やタグが異なる物質に接した時に変化する
ヘルスケアやウェルネスにおけるRFID
ヘルスケアやウェルネスは興味深く、さらに用途の広い研究分野です。
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- RAIN RFIDはヘルスケアにおける特殊なセンシングアプリケーションに活用できます。“Voice Prosthesis Implantable UHF RFID Self-Sensing Tag for Microbial Growth Detection”の記事では、深刻な結果を避けるための微生物の成長を検知するためにRFIDをどのように活用するかを説明しています。
- RAIN RFIDはセンシングや認証に制限はありません。困難な治療の手段としても活用できます。こちらの記事では、外傷性脳損傷の回復において脳の神経組織を刺激することにもRFIDが活用できると説明しています:“Split-Ring Resonator Antenna System With Cortical Implant and Head-Worn Parts for Effective Far-Field Implant Communications”
- RAIN RFIDはより永続的なソリューションの一部となる場合もあります。例えば、高度な人工装具とのコミュニケーション方法にも利用できます:“Constrained Safety-Integrity Performance of Through-the-Arms UHF-RFID Transcutaneous Wireless Communication for the Control of Prostheses”
ワイヤレスの方が上手く機能するかもしれない
印刷アンテナ、小型化、グラフェンと特殊タグ
その他のホットな研究トピックとして、印刷アンテナ、タグの小型化、グラフェンや特殊タグがあります。
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- 印刷アンテナとタグの研究は継続したトピックとなっています。銀など様々な材質の利点が研究されています:“Printable Stretchable Silver Ink and Application to Printed RFID Tags for Wearable Electronics”、またグラフェンも同様です:“Screen-Printed Graphite Nanoplate Conductive Ink for Machine Learning Enabled Wireless Radiofrequency-Identification Sensors”
- タグは小型化が進み、研究トピックにもなっています:“Miniature Coplanar-Fed Folded Patch for Metal Mountable UHF RFID Tag”、“Passive Enhancement of Read Range of Miniaturized UHF RFID Tags”
- グラフェンはRAIN RFIDタグアンテナに適した材質であると認められています。現在では、センシングのようなアプリケーションに研究の焦点が当てられています:“Graphene Oxide Dielectric Permittivity at GHz and Its Applications for Wireless Humidity Sensing”、“Sustainable production of highly conductive multilayer graphene ink for wireless connectivity and IoT applications”
- 興味深い特殊タグにおけるゴールは窓に組み込める“透明な”タグの開発です:“Exploitation of Transparent Conductive Oxides in the Implementation of a Window-Integrated Wireless Sensor Node”
窓に取り付けた透明なタグについての著者の想像
RFIDには明るい未来が待っている
全体的に研究トピックは、RAIN RFIDとNFCのテクノロジーにおける成熟度が高まっていることを示しています。テクノロジーの基本的な実行可能性、収益性、基本的なユースケースの効率、もしくは一般的な生産方法を研究する研究する必要はありません。研究はテクノロジーの端で機能します。このような端は日常のRFIDやNFCのユースケースからかなり離れています。小売、製造、ヘルスケアでのサプライチェーンもしくは資産管理におけるRAIN RFIDの有用性を証明するために新たな研究は必要ありません。また、旅券、アクセスカードやマーケティングツールとしてのNFCの適性を証明する研究も必要ありません。
研究は、“よりワイルドでワイルドな”センサーとの組み合わせ、患者治療でのRFIDの活用、そしてその他の革新的で素晴らしいアイデアなどに焦点が当てられます。RFIDに関する優秀な研究は、テクノロジーにとって強固かつ健全な長期的な未来を示しています。
TEL 03-5542-6755
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